メタボリック症候群
メタボリック症候群と腹囲
メタボリック症候群の診断基準では腹囲が重要なポイントです。男性では85センチ以上、女性は90センチ以上であることが目安とされていますが、これはこの腹囲が内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当すると推定されるためです。女性の方が男性より基準が大きいのは、女性は女性ホルモンの作用によって皮下脂肪がつきやすい体質であるからです。また、この腹囲による基準は世界でも国によって異なり、アメリカでは男性102センチ以上、女性は88センチ以上となっています。これは、アメリカ人は内臓脂肪がつきにくく、皮下脂肪が付きやすい体質だからです。
腹囲が大きいからといって必ずしも内臓脂肪が多いというわけではありません。腹囲の計測でメタボリック症候群と診断されたら、次にCT検査によって正確な内臓脂肪面積を測定することになります。
メタボリック症候群を予防するためには自分で定期的に腹囲を測定するのもよい方法です。その場合、正確な腹囲を測るために注意することがあります。
まず、腹囲は食事の前後で誤差があるため、空腹時に計測するようにします。計測には布製メジャーを使い、位置はおへその高さで水平に図ります。姿勢は両足を揃えて立ち、腕を両側に下げリラックスします。そして軽い呼吸をし、呼吸の終わりに計測するようにします。
メタボリック症候群の予防には自己管理が大切です。特定健診以外にも自分でも腹囲を測定することによって、腹囲の変化やメタボリック症候群の兆候に早く気がつくことができるでしょう。
メタボリック症候群と薬
近代は医学が進歩し、薬によってあらゆる症状を改善することができるようになりました。しかし薬には必ず副作用があり、人の体に少なからず負担をかけてしまいます。一般的にメタボリック症候群の予防、改善には一に運動、二に食事、三に喫煙、最後に薬と言われます。メタボリック症候群の治療は内臓脂肪を減少させることが基本ですが、内臓脂肪を減少させる薬はまだ日本にはありません。メタボリック症候群は生活習慣が原因であるため、生活習慣を改善すれば内臓脂肪は減少し、薬は必要ないのです。つまり自己努力によって生活習慣を改善し、できるだけ薬を飲まないでメタボリック症候群を改善することが望まれます。
しかし糖尿病、高血圧、脂質異常などは症状や進行度合いによっては運動、食事だけでは改善が見込めず、どうしても薬が必要な時があります。その場合は薬が処方されますが、受け取る時に医師や薬剤師の説明をよく聞いておくことが大切です。特に飲む量と時間、副作用については薬を飲む前にしっかり頭に入れておく必要があります。
また薬には飲み合わせると思わぬ副作用が現れる危険な組み合わせがあります。医師や薬剤師が処方する薬は飲み合わせが考慮されているため安心ですが、自分で勝手に市販の薬を飲む行為、2つ以上の病気を持っていて別の病院で処方された薬を飲む場合などに注意が必要です。
医師から処方された薬を飲むときには、他に服用している薬を報告し、自己判断で別の薬を飲まないことが大切です。
メタボリック症候群と医療費
近年日本では特定健診制度が始まり、国におけるメタボリック症候群の予防対策が強化されましたが、その背景には日本の医療費の増大があります。
現在、日本の医療費は年間30兆円を超えています。また今後高齢化社会が進むにつれて、さらに医療費は増え続けていくことが予想されています。メタボリック症候群が進行してさらに深刻な病気にかかると、その治療に高額な費用がかかります。メタボリック症候群の段階で対策を行うことによって国の医療費が抑えられると同時に、各家庭における医療費も抑えられるのです。
増大している医療費の内訳をみると、約3割は生活習慣病、中でも糖尿病に関連した費用が最も多くなっています。そこでメタボリック症候群の人を減らすことが医療費の抑制につながると考えられるのです。
社会保険庁の調査では、肥満、高血圧、高コレステロール、高血糖の4つについて異常がある人は、異常がない人に比べて10年後の医療費が3倍以上になると予想されています。また喫煙、肥満、運動不足などの不健康な生活習慣によっても医療費は増大すると予想されています。そこで特定健診制度では専門家による運動や食事療法を取り入れ、効率的に生活習慣の改善を図り、生活習慣病を予防することを目指しています。
特定健診は医療保険者が責任を持って実施していくことが義務付けられています。メタボリック症候群とその予備軍の数が5年後には平成20年度時点の10%減、10年後には25%減になることを目標としています。
メタボリック症候群と食事バランスガイド
メタボリック症候群の増大が社会問題となる中、2005年には厚生労働省と農林水産省によって「食事バランスガイド」が策定されました。
内臓脂肪の蓄積が原因で起こるメタボリック症候群では、食生活を見直すことが重要な対策です。しかし具体的な食品や量の目安が身近なところになく、栄養の知識が少ない人や外食の多い人などは栄養のバランスを考えて食事をすることが困難でした。これまでにも政府によって食事の指針が示されていましたが、あまり国民には知られていませんでした。
現在、食事バランスガイドはスーパーなどでポスターやリーフレットで目にする機会が増えています。スーパーでは少し目を止めて家庭でのメニューの参考にし、その場で買い物に生かすことができるでしょう。
食事バランスガイドは、栄養の知識が少ない人でも理解できる内容になっています。イラストはバランスを崩しやすいコマがイメージされ、どの食品が欠けるとバランスを崩しやすいかがすぐに分かります。
内容は食品を6つの区分に分け、それぞれ一日に摂る量の目安を数で示しています。どの食品がどの区分に入るかは一目でわかるようになっています。自分の食事内容と比較して、不足しているものと摂りすぎているものを簡単に知ることができます。
食事バランスガイドはメタボリック症候群の予防だけではなく、子どもの食育にも活用できる内容です。
それぞれの立場で食事バランスガイドを有効に利用し、メタボリック症候群の危険のない健康な食生活を目指しましょう。
